JFA・Jリーグ規約規定について
2020.8.19 Wed
2020年3月7日(土)に第1回目の講義を開催しました。講師は、弊クラブ・服部健二ゼネラルマネージャー(以後服部GM)に務めていただきました。
講義冒頭に、新人選手教育プログラムとは、若年層選手たちが自らで考え、自らで行動するための『自己学習能力』や、常に目標を持って、その目標に向かって計画、検証しながら進んでいけるような『目標設定思考力』の醸成を目的として行っていることを選手達に伝え、講義がスタートしました。
今回の講義は、JFA・Jリーグの規約規定について、プロサッカー選手としてキャリアをスタートさせた選手達が、規約規定を正しく理解しておくことは、この先自分自身の移籍や契約を勝ち取り、キャリアを築きあげていくうえで大切な基礎となる知識です。
規約規定集の内容を中心に、服部GMが選手に問いかけながら、和やかな雰囲気で進める一方、これまでの実体験なども含めたお話の際は、選手達も自身の立場に置き換えて、真剣な表情でノートをとる姿が見られました。
選手に関わる報酬の部分では、契約形態によって基本報酬が変わること。金額は消費税抜額での提示であることなど自分自身に直接関わる報酬の話から、
トレーニング費用のように、はじめてアマチュアからプロ契約をする場合、プロクラブが選手本人が在籍したアマチュアクラブに支払う費用もあることなど、これまであまり耳にする機会がない話ばかりでした。
選手が活躍することによって、そのクラブ、後輩たちに育成費用としてお金が還元される、
またそこから活躍する選手が出てくるというサイクルが生まれていることを、選手たちは理解し、自分を育ててくれた所属クラブへ貢献できていることを感じる機会となりました。
その他にも23歳以下の選手が、国内移籍をした際に発生するトレーニングコンペンセ―ション、アマチュア選手がはじめてプロとして国際移籍した場合や23歳以下のプロ選手が国際移籍する場合などに支払われるトレーニング補償金、プロ選手が国際移籍をする際に12歳から23差までの期間に選手を育成したクラブに支払われる連帯貢献金など、様々なお金がうまれる仕組みについて理解することで、プロサッカー選手としての自覚や選手としての自身の価値について考える良い機会になりました。
服部GMの言葉で、「クラブとしても個人としても結果を残し、海外から素晴らしいオファーがくるぐらい活躍して欲しい。」というスタンスは、クラブとして移籍をすることをマイナスとして捉えず、活躍して海外に移籍する選手がいたとしても、クラブにとって成長する機会であるとポジティブに捉えていることが印象的でした。
講義の最後に、服部GMからは「いろいろなことを周りの人に任せっきりになるのではなく、自分自身で知識をつけ、考えることが自分や家族を守り、自身の成長にもつながっていく」というメッセージを選手たちに送り、講義を締めくくりました。
服部健二プロフィール
■生年月日:1973年11月15日生(46歳)
■出 身 地:愛知県
■学歴:
1992年3月 愛知県立刈谷北高等学校 卒業
1997年3月 東京学芸大学 教育学部 卒業
2015年3月 早稲田大学 大学院 修士課程 修了(トップスポーツマネジメント 平田竹男研究室)
■主な職歴:
1998年 東京ガスサッカー部で主務を務める。その後同チームでトップチームマネージャー兼通訳、強化部、チーム管理マネージャー、コミュニティーアフェアーズを務める。
2009年から2013年までジュビロ磐田で強化部、ゼネラルマネージャーを務める。
2014年から2016年までヴィッセル神戸に在籍し、チーム統括本部として戦力担当、スカウト部部長、強化本部として強化部部長兼スカウト部部長などを務める。
2017年は、V・ファーレン長崎で強化育成部部長、強化アドバイザーを務め、この年クラブはJ2リーグ2位になりJ1昇格を達成。
2018年から横浜FCのゼネラルマネージャーとして就任(J2リーグ3位)
2019年J2リーグ2位で13季ぶりのJ1昇格へとクラブを導いた。
■その他
1997年4月 ブラジル留学(社団法人日本ブラジル交流協会より派遣)
2001年6月 2001FIFAコンフェデレーションズカップ ブラジル代表リエゾンオフィサー
2002年6月 2002FIFAワールドカップ ブラジル代表リエゾンオフィサー
2019年4月 阪南大学 流通学部 専任講師
■資格:
1997年 幼稚園教諭2種、小学校教諭1種、中学校教諭(保健体育)1種、高校教諭(保健体育)1種
2004年 JFA Sports Managers College【Grade3】
2015年 修士(スポーツ科学・早稲田大学)
選手の声
■中山 克広選手
この講義では、今後プロサッカー選手として生きていくで、必要となる知識を学びました。新人研修で学んだことよりさらに深く知ることができ、プロサッカー選手になることによって今までの所属してきたクラブに与える影響や、契約に関する基礎知識を改めて理解することができました。
高卒、大卒でプロに入った選手が身近に設定する目標の一つに、早くA契約になるという目標を持つ選手が多いと思います。A契約になるためには、出場時間900分が条件です。
また、900分出場が達成できなくても、3年経てばA契約に切り替わるということも、きっかけがない限りあまり知られない知識かもしれません。こういったことを防ぐためにも、きちんと最低限の知識をつけておくことは必要だと感じました。
これからのサッカー人生において今回得た知識をさらに広げ、僕自身の身を守ると同時に、それらをあまり知らずに入ってくる高卒・大卒の選手たちに伝えられるようにしていきたいとも思いました。
■草野侑己選手
JFA・Jリーグ規約、規定についての講義を受けました。この講義を聞いて感じたことが2つあります。1つ目は規約、規定をしっかりと知ることです。規約、規定を知らないと自分が損をすることがあるということです。僕は今はC契約ですが、残り何分出場でA契約になるなど知っておく必要があります。また契約金や移籍金、支度金などお金に関わることも自分や家庭を守ることで大切になってきます。衝撃を受けたのは、ぼくが今まで在籍していたチームにもお金が支払われることは驚きました。少しですが僕を育ててくれたクラブに恩返しできたのかなと思いました。こういう最低限のことを理解することで自分の選手としての価値を高めることにも繋がってくるのだと思いました。
2つ目は自分のことは自分で守るということです。自分の契約は仲介人や第3者などに任せるのではなく、自分の人生なので自分で決断していくことが大切であると言うことです。自分が将来どうしたいのか、どうなりたいのか、そこを理解して、規約、規定をしっかり理解して、助けてくれる周りの方とうまく付き合っていくことが自分の目標の実現に近くのだと思います。
このようにプロとして必要最低限の知識を持って、自分の価値を高めつつ、しっかり自分や家族を守っていきたいと思いました。