横浜FC

コミュニケーションスキル②

2021.3.11 Thu

2021年4月1日(木)に第5回目の講義を開催しました。講師は、前回に引き続きメディアトレーナーの片上 千恵さんに務めていただきました。

まず振り返りとして、前回実施した問答ゲームから講義がスタート。

 

 

片上さんからの質問に対して、意見と根拠を明確に、具体的に話すことを意識して選手は答えていきました。インタビュー対応が上手な選手に共通しているポイントは3点。

 

・ロジカルに話せているか(意見と根拠が明確)

・サービス精神(自分のことをさらけ出せているか)

・表現力

 

今回は3つ目の表現力について、詳しくお伝えいただきました。

表現力を鍛えるために、片上さんが意識しているポイントがあります。

1つ目が、「VOICE」。声で印象を変えること。

しっかりと相手に聞こえる声で声を届かせること。目安は5m先の人に伝えるように。

活舌が悪い方や早口な方も、5m先の人に届くように意識するだけで改善できると仰っていました。日本語は、子音+母音(a,i,u,e,o)で成り立っています。言葉の子音をすべて外し、母音だけで発声することにより、胸式呼吸から腹式呼吸になり、一音一音を切って発声することで言葉の切れが良くなり、明晰になります。このような発声方法を母音法と呼びます。

選手は、自分の名前を母音法を用いて発声を繰り返し、最後に名前を話してみると、たった1分のトレーニングだけで聞き取りやすさが格段に向上していることを実感していました。

続いて2つ目のポイントが、「INTONATION」イントネーション。抑揚をつけること。

音楽の楽譜のように、言葉に抑揚(高低差)をつけることにより、聞き手にとって理解しやすい言葉にすることが出来ます。

主語+助詞で成り立つ文などを、大きな「へ」の字を意識したイントネーションにすることで聞き取りやすさが上がります。

3つ目のポイントが、「PAUSE」ポーズ。間。

俗にいう「間」と呼ばれるもので、この「間」を上手に使えることができれば、話の理解を促したり、人を惹きつけることが出来る大きなポイントだと感じました。

「あー」「えー」という言葉。インタビューの最初や途中によく聞く言葉だと思います。

この言葉を無くし、「間」を取るだけで、注目を自分に向けることができるのです。

その他にも「姿勢」について、正しく立つ(座る)ことや「ジェスチャー」を用いて話を進めることで、話に躍動感が出てきたり、言葉に抑揚がついてきます。

こういったポイントを踏まえて、大切なのは、「あなたらしさ」を出すこと。オリジナリティが注目を集め、ファンの心を掴むことが出来るということを選手に伝えてくれました。

そして講義の締めくくりとして、テレビの生放送の番組を想定したロールプレイが行われました。

突然振られる質問に対して、選手たちはこの講義で教わったポイントを踏まえつつ、しっかりと自分の意見をインタビュアーに伝えることができていました。

これから活躍が期待される若手選手だけに、しっかりとしたメディア対応の基礎となる部分を今回勉強することが出来たことは、より一層選手としての価値や深みを出すことに繋がると思います。素晴らしく理解しやすい講義を開いていただいた片上さん、本当にありがとうございました。

 

 

片上千恵さんプロフィール

■現職

帝京大学経済学部経営学科スポーツ経営コース 専任講師
IMAGE WORKS & Co.代表

■出 身 地

愛媛県

■経歴

NHK松山放送局キャスターなど10年余りのマスメディア側からの取材活動に従事。2003年よりJリーグクラブなどを中心に、様々なスポーツ競技の選手や指導者を対象にメディア・トレーナーとしての活動を開始。2007年には米国にてイメージコンサルタント資格を取得し、IMAGE WORKS & Co.を設立。企業の幹部やスポークスパーソンを対象にしたメディアトレーニング、プレゼンテーショントレーニング、危機管理対応トレーニング等も数多く手掛ける。びわこ成蹊スポーツ大学講師等を経て、2015年より現職。

■著書

  • 「スポーツ・マネジメント理論と実務」(共著:東洋経済新報社)
  • 「実践から読み解くスポーツマネジメント」(共著:晃学出版)ほか

■講演・研修等

  • Jリーグ、Bリーグ、WJBL、ラグビートップリーグの全体新人研修 メディアトレーニング講師
  • JFA(日本サッカー協会)公認S級コーチ養成講習会 プレゼンテーション講習講師
  • JBA(日本バスケットボール協会)公認S級コーチ養成講習会 メディアトレーニング講習講師 ほか

 

選手の声

 

■高木友也選手

今回の講義を通じて、プロサッカー選手として、話の内容や話し方を向上させることはもちろん大切だが、表現力などといった目に見えるものが一番見ている人の心に響くので大切だと感じた。姿勢、声の大きさ、間、ボディランゲージなどの初歩的な部分を大切にすることで印象が決まってくる。また、どんな人に見られたいのかということを想像しながら、自分の理想像と今の自分との差を埋める必要があると感じた。

また、グループでのインタビューなどは自分の時だけでなく、仲間がインタビューを受けているときの相槌や合いの手を入れたりすることによって、一体感のある空気などを作ることができる。スタジオなどでは1人だけでなく全員で作り上げるものという意識を持ってやっていくことでもっと質の高い場になると思う。

 

■中塩大貴選手

今回の講義は、表現力がテーマでした。

相手に伝えるときも、声のトーンや抑揚の付け方ひとつで、より印象的に伝えることができるというのを勉強しました。

声のトーンを上げることで、明るい印象を与えたりするのはなんとなく分かっていた部分もありますが、改めて必要性を感じました。

文章を読む際も、抑揚をつけることによって相手により伝わりやすくなりました。またとても聞きやすくなり、すんなりと言葉を受け入れることができると思いました。

最後に行った生番組を想定したインタビューの練習では、話したいことは話せていましたが、より見ている人に伝わりやすい技術をプラスすることができたのではないかと思います。またジェスチャーや、他の人が話しているときに待っている姿勢、相槌をするなども改善していけたらと思います。

緊張している中でなかなか難しいと思いますが、インタビューなど受ける回数も増えていくと思うので、練習していきたいです。