JFA・Jリーグ規約規定について
2021.3.11 Thu
2021年2月12日(金)に第1回目の講義を開催しました。
講師は、弊クラブ・服部健二ゼネラルマネージャー(以後服部GM)に務めていただきました。
講義冒頭に、新人選手教育プログラムとは、若年層選手たちが自らで考え、自らで行動するための『自己学習能力』や、常に目標を持って、その目標に向かって計画、検証しながら進んでいけるような『目標設定思考力』の醸成を目的として行っていることを選手達に伝え、講義がスタートしました。
今回の講義は、JFA・Jリーグの規約規定について、プロサッカー選手としてキャリアをスタートさせた選手達が、規約規定を正しく理解しておくことは、この先自分自身の移籍や契約を勝ち取り、キャリアを築きあげていくうえで大切な基礎となる知識です。
規約規定集の内容を中心に、服部GMが選手に問いかけながら、和やかな雰囲気で進める一方、これまでの実体験なども含めたお話の際は、選手達も自身の立場に置き換えて、真剣な表情でノートをとる姿が見られました。
選手に関わる報酬の部分では、契約形態によって基本報酬が変わること。金額は消費税抜額での提示であることなど自分自身に直接関わる報酬の話から、トレーニング補償金のように、はじめてアマチュアからプロ契約をする場合、プロクラブが選手本人が在籍したアマチュアクラブに支払う費用もあることなど、これまであまり耳にする機会がない話ばかりでした。
選手が活躍することによって、そのクラブ、後輩たちに育成費用としてお金が還元される、またそこから活躍する選手が出てくるというサイクルが生まれていることを、選手たちは理解し、自分を育ててくれた所属クラブへ貢献できていることを感じる機会となりました。
その他にも23歳以下の選手が、国内移籍をした際に発生するトレーニングコンペンセ―ション、アマチュア選手がはじめてプロとして国際移籍した場合や23歳以下のプロ選手が国際移籍する場合などに支払われるトレーニング補償金、プロ選手が国際移籍をする際に12歳から23差までの期間に選手を育成したクラブに支払われる連帯貢献金など、様々なお金がうまれる仕組みについて理解することで、プロサッカー選手としての自覚や選手としての自身の価値について考える良い機会になりました。
服部GMの言葉で、「クラブとしても個人としても結果を残し、海外から素晴らしいオファーがくるぐらい活躍して欲しい。」というスタンスは、クラブとして移籍をすることをマイナスとして捉えず、活躍して海外に移籍する選手がいたとしても、クラブにとって成長する機会であるとポジティブに捉えていることが印象的でした。
講義の最後に、服部GMからは「いろいろなことを周りの人に任せっきりになるのではなく、自分自身で知識をつけ、考えることが自分や家族を守り、自身の成長にもつながっていく」というメッセージを選手たちに送り、講義を締めくくりました。
講師プロフィール
服部健二
■生年月日:1973年11月15日生(47歳)
■出 身 地:愛知県
■学歴:
1992年3月 愛知県立刈谷北高等学校 卒業
1997年3月 東京学芸大学 教育学部 卒業
2015年3月 早稲田大学 大学院 修士課程 修了(トップスポーツマネジメント 平田竹男研究室)
■主な職歴:
1998年 東京ガスサッカー部で主務を務める。その後同チームでトップチームマネージャー兼通訳、強化部、チーム管理マネージャー、コミュニティーアフェアーズを務める。
2009年から2013年までジュビロ磐田で強化部、ゼネラルマネージャーを務める。
2014年から2016年までヴィッセル神戸に在籍し、チーム統括本部として戦力担当、スカウト部部長、強化本部として強化部部長兼スカウト部部長などを務める。
2017年は、V・ファーレン長崎で強化育成部部長、強化アドバイザーを務め、この年クラブはJ2リーグ2位になりJ1昇格を達成。
2018年から横浜FCのゼネラルマネージャーとして就任(J2リーグ3位)
2019年J2リーグ2位で13季ぶりのJ1昇格へとクラブを導いた。
■その他
1997年4月 ブラジル留学(社団法人日本ブラジル交流協会より派遣)
2001年6月 2001FIFAコンフェデレーションズカップ ブラジル代表リエゾンオフィサー
2002年6月 2002FIFAワールドカップ ブラジル代表リエゾンオフィサー
2019年4月~ 阪南大学 流通学部 専任講師
■資格:
1997年 幼稚園教諭2種、小学校教諭1種、中学校教諭(保健体育)1種、高校教諭(保健体育)1種
2004年 JFA Sports Managers College【Grade3】
2015年 修士(スポーツ科学・早稲田大学)
選手の声
■松尾 佑介選手
今回の講義を受けて、JFA・Jリーグ規約規定など選手として必要な知識を身に付けておくことが、自分のキャリアを設計していくうえで自分の身を守ること、手助けになることを感じました。
移籍金の金額はそれほど自分には関係ない事として捉えていたが、サッカー市場における自分自身の価値やシーズンの活躍によってどの程度変動するのか、その価値と年俸を照らし合わせて、自分は適正な評価を得ているか、その年俸に伴った貢献が出来ているかなど自分を客観視する視点もこれからは意識していきたいです。
自分はひとりの選手であるとともに、移籍市場やクラブにとっては「商品」であるということを理解することも大切だと思いました。
その価値を高めることは自分次第であるという部分に、プロサッカー選手としてのやりがいを感じるし、この職業ならではの魅力だなと感じています。
自分の活躍がこれまでお世話になったチームへの恩返しとなることなど、気づかないうちにいろいろなものを背負ってプレーしていたことを感じ、一つのモチベーションになりました。
■大内 一生選手
今回の講義を通じて、これまであまり意識していなかった事を理解できて良かったです。
移籍に関わる様々なお金の動きやチームを構成するにあたって、クラブがどういうことを
意識して編成をおこなっているかを学ぶことが出来ました。
移籍に関しても条件や年齢、タイミングなどによって、金額などが変わってくることについて今回新たに知ることが出来ましたし、自分の活躍がこれまで在籍したチームへの一つの恩返しになることを感じています。
チームを構成するうえで、A契約の選手の登録人数には上限があります。しかし僕のようにそのクラブのアカデミー出身選手であれば、A契約の登録人数には含まれないホームグロウン制度が適用されます。アカデミー出身の選手が活躍することは選手自身の成長だけでなく、クラブにも大きな貢献ができることを理解してプレーすることはとても大切な要素だと実感しました。